青樹庵です。
駿河湾の海岸に行きました。
風の強い日でしたが、暑くも寒くも無く身体を叩くほどの潮風が心地よくて。
どーんと音を立てながら打ち寄せる水しぶきは、すこし離れている頬にもかかるほど激しくて、
たちまち眠っていた心が荒々しく目を覚まし、海に立ち向かうのを感じます。
荒波に触れたらそのままどこかに流されてしまいそう。見ているだけでドキドキするほどの高揚感。
ふと、潮に乗って流されてみたい誘惑にかられます。
海の不思議。
わたしは海が好きで、時にたまらなく海を見たくなります。
果てしなく広々と、どこまで行ったらどこに辿りつくのか。
島影も見えない海と空の境界線を見ていると心が吸い取られてこの世ならぬ思いの中に入りこみます。
この海岸は小石で埋められています。
小石は海の水が運んできたのでしょうか。
少し離れた海岸は砂の海岸。
その砂も海が運んだものでしょうか。
どうして違うのでしょう。
人の定めと似て軽いめまいに倒れそう。
防風林の中に若山牧水の歌が刻まれていました。
≪ 幾山河越え去りゆかばさびしさの果てなん国ぞ今日も旅ゆく ≫
この歌が好きで、旅に行くと自然に追憶の中から顔を出すの。
すると寂寥感がじわじわと胸をしめつけて、なんの意味も無い旅なのにこの世の果てにいるような寄る辺ない気持になります。
絶望とは違う甘いロマン。しばし現つつから逃げ出して夢想の世界に浸るつかのまの時間、想い。
日本人的な郷愁なのか。
牧水もこの海を見て寂しくも悲しい想いに捉われたのでしょうか。
この地に住んで朝に夕にこの海岸をさ迷ったら、もう1つの人生がそこに生まれるだろうか。
青樹でした
自分を外から見ると
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しばし夢の中に
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